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なお、TDSの数値は各浄水場で発表されていますので、それぞれで確認してみましよう。

 

水道水から放射性物質検出

 

福島県飯舘村の水道水から、1キロ当たり965ベクレル(ベクレルは放射能の強さの単位、1ベクレルは一秒間に1個の原子が崩壊していることを表わす)の放射性ヨウ素が検出され、厚生労働省は2011年3月20日、水道水を飲むことを控えるように飯舘村に要請を出しました。飲食物摂取制限に関する指標は300ベクレル/kgですから、3倍以上の数値でした。

その後、東京の金町浄水場(水源は江戸川)から「放射性ヨウ素131」が検出されました。検出された放射性ヨウ素は、水道水1キログラム当たり210ベクレル。1歳未満の乳児の暫定基準値(100ベクレル/kgを超えていたため、乳児が飲むことを控えるように呼びかけられました。

厚生労働省水道課長通知によれば、指標値である210ベクレルを超えた場合、飲用を控えること、生活用水としての利用には問題がないこと、代替となる飲用水がない場合は飲用しても差し支えないと通知されています。ただし、ペットへの影響については不明です。

放出されたエネルギーが放射線、放射線を出す物質が放射性物質ですが、超微細粒子の放射性物質は空間を移動し、飲料水中に混入してきました。

福島第一原発からの放射性物質が雨水に含まれ地上に降下し、原水中の放射性ヨウ素の濃度が上昇したものと思われます。広範囲で雨が降ったため放射性物質は川から浄水場、そして家庭への流れとなりました。そして、水道水から放射性物質(ヨウ素131、セシウム134、セシウム137)が確認されました。

大気中に放出され、健康に影響を及ぼす放射性物質には以下のような物質があります。

 

【放射性物質】放射線の種類/寿命(半減期)

【ヨウ素131】ベータ線、ガンマ線/8日

【セシウム134】ベータ線、ガンマ線/2年

【セシウム137】ベータ線、ガンマ線/30年

【ストロンチウム90】ベータ線/29年

【プルトニウム239】アルファ線/2万4000年

【プルトニウム240】アルファ線/6560年

 

原発事故という人災によって、環境破壊をもたらしたことになります。そして、電気の次は、ライフラインである水に原発被害が出ました。

放射性物質による被ばくには、細胞の中のDNAを破壊させがん化させる直接被ばくと、水や食物などから生体細胞に直接作用して、細胞内の遺伝子や染色体に影響を与える内部被ばくがあります。 乳幼児や成長期の子どもたち、妊婦を守る必要があります。

日本産科婦人科学会が2011年3月24日、軽度汚染水道水(200ベクレル前後)を長期にわたって飲んだ場合の健康への影響について「現時点では妊娠中・授乳中女性が軽度汚染水道水を連日飲んでも、母体ならびに赤ちゃん(胎児)に健康被害は起こらないと推定されます。」との見解を示しました。

国も同じく「これまでの結果では、100ベクレル/kgをすべて下回っておりますので、乳児が摂取しても健康に影響はありません。」との見解です。

メディアや専門家からは「問題はない」「ほとんど影響がない」「自然界にも放射性物質がある」「レントゲンと比較しても大丈夫」といった発言が出てきましたが、そもそも入ることのない物質が水に入ってきたのです。「気にするな」といわれても「わかりました」と素直に受けとめられることではありません。

日本には、水道水質基準としての放射性物質量の水質規制値や基準値はありません。放射性物質が 水道に混入しても、配水を止めることができません。

WHOの飲料水の放射性物質のガイドラインは10ベクレル(Bq/ℓ)。日本では日本水道協会が同じ内容の「ガイドライン」を出していて、一般人の被ばく限度は1ベクレルとの分WHOの10分の1。これは、水道以外の食材、外部被ばくも考慮しての基準値になっています。

 

放射性物質は想定外

 

水道水への放射性物質検出の報道後、数日間、関東近辺ではコンビニやスーパー、自動販売機からペットボトルの水が消えました。

1986年のチェルノブイリ原発事故でも、拡散された放射性物質が日本各地で検出されました。しかし、放射性物質は、原発事故で拡散されたときだけではありません。放射線治療が増えた結果、病院などの施設からの廃液、患者からの屎尿などにも放射性物質は含まれています。がん治療、レントゲンや血管造影剤による撮影などにも利用されています。それらが下水に流れ、原水の湖沼や河川、地下水に混入し、水道水が汚染される場合があります。ウランなどのように自然の岩石などに含まれた放射性物質が溶出して水道水にも混入します。

東日本大地震が起きた前日の2011年3月10日、国内外の23本のミネラルウォーターを検査しました。(検査結果は133~138ページ参照)。そこでは、ペットボトルの水も決しておすすめだといえない結果が出ました。

ペットボトルの水よりも水道水の基準のほうが項目も多く厳しく、水道水も地域によっては以前に比べてよくなってきているので、そのことも伝えていこうと思っていた矢先、水道水から放射性物質が検出されました。放射性物質は「想定外」でした。

水は、自然とともに存在していることを気づかされた出来事ともなりました。

もし、水の中に本来は自然界に存在しないもの、たとえば化学物質を混入してしまった場合、水道というシステムの中には、浄水場や下水処理場という浄水施設があり、水の中のさまざまな物質を取り除く作業が行なわれています。しかし、このような設備もオールマイティーにすべてを除去できているわけではありません。

厚生労働省のウェブサイトにて「水道水中の放射性物質に関する指標等の取扱い等について」「乳幼児に係る水道水の摂取に係る対応について」がアップされています。自治体によって各水道局で測定結果を水道局のホームページで公表しています。これらの放射性物質の測定は今後、継続ざれると思われますので、ほかの有害物質とともに水道局に確認してください。

まずは現状の環境を知ることからはじめましょう。どのような対処をしたらよいのか、どんなミネラルウォーターがよいのか、どういう浄水器は対応可能なのかについては次章から紹介していきます。

 

名水百選とは心配り

 

自然と一体化したきれいな水源の地域からの湧き水、名水が日本にはいくつもあります

環境庁(当時)が1985年、全国各地の湧き水や河川から100カ所選んだのが「名水百選」です。水資源、水環境を保護する関係地域住民の努力を顕彰しています。

環境省は「『名水百選』に代表される全国の優れた水環境は、その地元の方々ばかりでなく、そこを訪れる全ての人の心配りなくしては、将来にわたって保全・継承していくことはできません。我が国の『優れた水環境』を次の世代に受け継ぐために、皆様方の環境保全に対するご理解とご協力をお願いいたします。」といっています。

しかし、選定からすでに20年以上経過していることと、周辺状況の変化の可能性もあげ、「名水百選」の飲用を環境省は現在、保証はしてはいません。「名水百選」の水のうち数カ所から、大腸菌や硝酸性窒素など化学物質による汚染も報告されています。

優れた水環境は、自然への心配りがあって保証されることだといえます。

 

日本の「水道水質基準」

 

2004年に水道法が改正され、「水道水質基準」に適合した水の供給と定期的な水質検査が水道事業者らに義務づけられました。改正後、基準項目が46項目から50項目となりました。「水道水質基準」(50項目)を補完する項目として、「水質管理目標設定項目」(27項目、182物質)「要検討項目」(44項目)があります(いずれも巻末の「付表」参照)。

「水質管理目標設定項目」は、水道事業者らに水質基準に係る検査に準じて監視を行ない、その検出状況を把握するため、水道水質管理上留意すべき項目です。「要検討項目」は、毒性評価が定まらない項目、または浄水中の存在量が不明等の理由から水質基準および水質管理目標設定項目のいずれにも分類できない項目です。

アメリカの水質基準は、全米的なガイドラインの項目から見ると300〜400項目で、さらに未確認として500種類以上の物質が検討されています。州によっても違っています。農薬類は、日本4項目でアメリカ82項目。発がん性物質は、日本7項目でアメリカ53項目。放射性物質については日本では基準がなく、アメリカは放射性物質53項目です(1994年時での比較)。

日本と比べ、人体に対して少しでも有害と判明した場合、アメリカでは即刻、基準に盛り込まれます。日々の変化も激しく、水道水は安全だという神話も崩れている中、日本も基準項目をアメリカなみに考えるときにきています。

水質基準の項目と数値は実際どうなっているのか、各自治体の水道局のホームページでも確認できます。東京都では、水道水(蛇口の水)および浄水場(出口、入口)の水質検査結果を紹介しています。実際、どんな水道水を利用しているのか、きれいなのか汚れているのか、汚れている場合、どんな物質で汚れているのかについては各水道局で確認してください。

日々どんな水質の水を使用しているのか、原水と比較しながら確認していくことをおすすめします。放射性物質だけが有害な物質ではありません。まずは、現状の水環境を知ることからはじめてみましょう。

現在の水道水の安全性が期待できないため、ミネラルウォーターを飲み、浄水器を使用することで改善を求めている人もいます。ミネラルウォーター選びは第3章でくわしく紹介します。

 

第3章

ミネラルウォーターの選び方

 

ミネラルウォーターの売れ行き

 

全世界のボトル水の売上高が2004年、1000億ドルを突破しました。

日本ミネラルウォーター協会(1972年に「業界の健全な発展を期すこと」を目的として設立された日本で唯一の業界団体)の資料によれば、家庭用ミネラルウォーターの走りとなったのは、ハウス食品が1983年に発売した「六甲のおいしい水」でした(現在はアサヒ飲料)。サントリー、キリンビバレッジが1990年に家庭用市場に出てきたことで、水ビジネスは一気にのびていくことになります。

2009年の清涼飲料分類別生産数量で、ミネラルウォーターは、茶系飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料に続いて第4位。年間生産量は約210万キロリットルです(「清涼飲料関係統計資料」より)。

2010年の日本の国民1人あたりのミネラルウォーター年間消費量は19.8リットルでした。アメリカ101.4リットル、ドイツ148.5リットル、フランス125.7リットルと比べると、10分の1になります。

ミネラルウォーター類の国内生産量は2008年以降、年間200万キロリットルを超えています。2010年のミネラルウォーター類生産量(輸入含む)は過去最高の251万7925キロリットルを記録しています。金額ベース(輸入含む)では2010年、1852億8800万円です。放射性物質の検出などで生産量が追いつかなくなった2011年は生産量、輸入量がさらに拡大していくことでしょう(日本ミネラルウォーター協会調べ)。

 

ミネラルウォーター4つの分類

 

日本では農林水産省の「ミネラルウォーター類(容器入り飲料水)の品質表示ガイドライン」(1990年)により、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターの4つに分類されています。

 

【ナチュラルウォーター】

原水=特定の水源から採水された地下水

処理方法=ろ過、沈殿、過熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行なわないもの

【ナチュラルミネラルウォーター】

原水=特定の水源から採水された地下水のうち、地下で滞留または移動中に地層中の無機塩類(ミネラル)が溶け込んでいるもの

処理方法=ろ過、沈殿、過熱殺菌以外の物理的化学的処理を行なわないもの

【ミネラルウォーター】

原水=特定の水源から採水された地下水のうち、地下で滞留または移動中に地層中の無機塩類(ミネラル)が溶け込んでいるもの。ナチュラルミネラルウォーターと同じ

処理方法=ろ過、沈殿、過熱殺菌以外に次の処理を行なったもの。複数の原水の混合、ミネラル分の調整、抜気、オゾン殺菌、紫外線殺菌など

(注)本書でこの分類を指す場合、ガイドラインでのミネラルウォーターとし、一般名称としてはそのままミネラルウォーターとします。

【ボトルドウォーター】

ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ガイドラインのミネラルウォーター以外のもの

原水=飲用の水、純水、蒸留水、河川の表流水、水道水など

処理方法=限定はなし。原水の本来の成分を大きく変化させる処理を行なったもの。原水が地下水の場合はろ過、沈殿、加熱殺菌。地下水以外の場合は食品衛生法に基づく殺菌を行なう。

 

ミネラルウォーターは地下水を原水とするもので、原水の成分に無機塩添加などの調整を行なっていないものは、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター。原水が地下水でないものは、ボトルドウォーター。ミネラルウォーターといっても、ミネラルを多く含んでいるというわけではありません。

 

ミネラルウォーターのラベルの見方

 

ボトルに貼られたラベルにはどんな意味があるのか知っていると、購入の際に役立ちます。小さなラベルにさまざまな情報が記載されていますので、ラベルに注目してみましょう。

 

【品名】

ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターのいずれか

 

【原材料名】

鉱水=ポンプなどで採水したミネラル分を含む地下水

鉱泉水=ミネラル分を含み水温25℃未満で自噴している地下水

温泉水=ミネラル分を含み水温25℃以上の自噴している地下水

浅井戸水=浅い井戸水(地下水)

深井戸水=深い井戸水(地下水)

伏流水=浅い地下水

湧水=自噴している地下水

海洋深層水は「水海洋深層水100%」のように表記されている。

 

【殺菌方法】

加熱殺菌、オゾン殺菌、紫外線殺菌など殺菌処理の方法。ヨーロッパ産は、殺菌処理をしていないことが明記されている。

 

【採水地と原産国】

ミネラルウォーターが製造された国名と原料水の採水した地名。採水地は細かく記載しているほうが 信頼性は高い。海洋深層水は水深も記載していることが多い。

 

【賞味期限と保存方法】

未開封の状態で保存可能な日付。殺菌処理をしていない海外産は開栓したら早めに飲みきること。除菌・殺菌後、密封される国産の場合も一度開栓すると空気中の雑菌などが入ることがあるので、栓をして冷蔵庫で保存。

 

【栄養成分表示】

水の中に含まれる成分の名前と分量。ミネラル成分は一般的に、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの4種類が記載されている。エネルギー(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物はゼロなので、記載がないことも多い。

 

【硬度】

水に含まれるカルシウムとマグネシウムの総量を数値化したもの。

100mg/ℓ以下が軟水、100~300mg/ℓが中硬水、300mg/ℓ以上が硬水と分類されることが多い(硬度については21、72〜73、94~95ページなども参照)。

 

【pH値】

原材料の水が酸性かアルカリ性かを示している。pH7.0が中性、数値が少ないほど酸性に近く、高いほどアルカリ性に近い。pH5〜9が一般的。

 

水道水よりゆるい基準

 

「每日新聞」(2003年4月20日付)の記事「ミネラル水19品からアルデヒド類水質基準に甘さ」で、国内で販売されているミネラルウォーターの一部から、化学物質のホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを検出されたと報道されました。

横浜市衛生研究所が調査した商品は、横浜市内で販売されているボトル入りのミネラルウォーター30品(14品がアメリカ、フランス、カナダなどの輸入品、16品が10道県で採水された国産品)。その結果、輸入品5品、国産品14品の計19品からアルデヒド類が、うち17品からホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの両方が検出されています。

スポンサーを気にしてか記事には商品名が出ていないのが残念ですが、ホルムアルデヒドの最高濃度は国産で59マイクログラム/ℓ。アセトアルデヒドはアメリカ産で260マイクログラム/ℓ。いずれも同市の水道水の実測値(ホルムアルデヒド13マイクログラム、アセトアルデヒド3.1マイクログラム)を上回ったと報告しています。

日本のミネラルウォーター類は、食品衛生法第11条に基づく「食品、添加物等の規格基準」で基準が決められていますが、そこにはアルデヒド類の規格基準はありません。水道水には水質基準を補う監視項目としてホルムアルデヒド(ホルマリン)があり、その指針値は80マイクログラム/ℓ(ppm)となっています。

横浜市は「飲み続けても人体に影響が出る量ではない」とコメントしていました。しかし、ホルムアルデヒドは疫学調査で発がん性が確認されている物質で、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因とされています。アセトアルデヒドは動物実験で発がん性が確認されています。

食品衛生法にはミネラルウォーターの製造基準が定められており、原水の基準に適合した安全な水を用いて、同じく食品衛生法で認められた製造設備で製造します。50種類の基準値がある水道水と比べると、ミネラルウォーターは食品衛生法で19種類の基準値しかありません(付表「ミネラルウォーター類に関する食品衛生法」参照)。

同じ水でも、水道水とミネラルウォーターではこのように基準値に違いがあります。

 

日本とヨーロッパのミネラルウォーター

 

ミネラルウオーターは現在、国産では約800銘柄、輸入品は約200銘柄あるといわれています。国際的な規格もなく、各国での考え方の違いがあり、日本では原水を加熱殺菌、またはそれと同等以上の効果を持つ殺菌処理が前提で、日本は殺菌による安全性を第一にしています。米国も同じです。一方、自然のまま求められているヨーロッパでは、無殺菌・無除菌で製造されています。

生きた菌を自然のまま飲むことが前提のヨーロッパでは、日本で義務付けられている、ろ過をするという発想はありません。水源地周辺には厳しい基準が設けられ、環境保護が徹底的にされています。日本の規格には水源地域の管理は含まれていません。また、採水地とボトル容器づめの工場が別のところでもよい日本と比べて、空気に一切ふれずにその場でボトリングされます。

これは、殺菌の安全性を重んじる日本、自然のままの成分を重んじるヨーロッパの違いになります。

日本では、原水の加熱殺菌処理をしていない水、加熱殺菌処理をされた水、水道水をつめた水が通称ミネラルウォーターとして販売されています。

一方、添加物はなし、殺菌処理・ろ過もなし、採水地でのボトリング、いろいろとミネラルが含有されている、採水地周辺の環境保護が徹底―これらがヨーロッパのミネラルウォーター。日本のように除菌した水は「プロセスドウォーター」と表示されています。日本のミネラルウォーターの原水は天然水であっても、加工食品だともいえます。

ヨーロッパから「日本のミネラルウォーターはまがいもの」「単なるボトリング水」といわれるのはこうした背景からです。

ヨーロッパでは水源が汚染されないように、採水地の周辺に工場、ゴルフ場、農場などの建設を禁止されています。また「当の水が源泉で有している性質に一切手を加えない」ことが、ナチュラルミネラルウォーターを生産する大前提です。ヨーロッパでは「無殺菌でも飲めるくらい安全な水」こそ がナチュラルミネラルウォーターだと考えられています。

しかし、ヨーロッパの無殺菌のミネラルウォーターからも発がん性のあるアルデヒド類が検出されたり、カビや放射性物質の混入反応が出たこともあります。2010年、カビが混入したVolvic(ヴォルビック)は製品を自主回収しています。

日本の法律に適しないのに、なぜ「Volvic」「Vittel」「Contrex」どの水が輸入できるのかといえば、自由貿易の障害だと海外メーカーから反対の声があがり、特例として輸入が認められたからです。

「ミネラルウォーター大全」(http://joooyooo.blog28.fc2.com/)というサイトがあります。2011年6月24日現在、1525種類(外国の水258種、日本の水1250種、採水地不明15種、番外編2種)を紹介しています。名称、採水国、採水地、硬度、pH、炭酸の有無、成分、そして味の感想と飲みやすさを採点し、ミネラルウォーターのデータベースとなっています。

 

泡立ちよい軟水と泡立たない硬水

 

ミネラルウォーターは硬度によって、硬水か軟水かに分類されます。ミネラルウォーターにも明記されています。

カルシウムイオン、マグネシウムイオンが比較的多量に溶け込んでいる水を硬水、少ない水を軟水といいます。硬度とは、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの量をこれに対応する炭酸カルシウム量に換算したもの(1ℓ当たりのmg)です。

法律で規定するものでもなく、また、算出方法も国によって違っています。

WHO(世界保健機関)の「飲料水水質ガイドライン」では次のように分類しています。

①軟水 0〜60mg/ℓ

②中程度の軟水 60~120mg/ℓ

③硬水 120〜180mg/ℓ

④非常な硬水 180mg/ℓ以上

石けんの泡立ちがよいのが軟水、悪いのが硬水ともいえます。

ミネラルは、地形や地質によって含有量が違います。国産のミネラルウォーターには軟水、ヨーロッパなど海外のミネラルウォーターには硬水が多いです。地下水が十分に溶け込めない地形の日本と石灰岩層の土地にミネラルが多く含まれるヨーロッパとの違いです。

ヨーロッパで水を注文すると、ガス(炭酸)入りウォーターが出てきます。この発泡性のミネラルウォーターには、天然のものと人工的に炭酸ガスを添加したものがあります。天然の炭酸水は火山活動で地層中に発生した炭酸ガスが地下水と混ざってできたものです。

硬水の場合、ミネラルの補給、健康や美容を目的としている商品が多く見られます。のどごしは重いです。マグネシウムが多いと苦みが強くなります。

厚生省の諮問機関「おいしい水研究会によれば」、おいしい水の硬度は10〜100mg/ℓ。これは軟水です。

硬水でごはんを炊くとぱさぱさになります。昆布やカツオだしのような和風だしには軟水。グルタミン酸などのうまみが出やすいです。しっかりした味わいの料理には硬水。肉料理は、軟水だと肉の臭みが出ますが、硬水だと軟らかくしアクが抜けます。

コーヒー、緑茶、紅茶、ウイスキーなどの飲みものは基本的に軟水がおすすめです。緑茶を軟水で入れると渋みや苦味や香りが楽しめ、硬水ではマイルドになります。コーヒーは、浅煎りのアメリカンは軟水、深煎りのエスプレッソはやや硬水がおすすめです。軟水は、豆本来の香りや味を引き出します。硬水は、カルシウムが苦味を抑えてまろやかな味になります。マグネシウムが多いと苦味が引き立ちます。紅茶も硬水だと苦みが強くなってしまいます。ウイスキーは軟水、香りが個性的なスコッチはやや硬水だとおいしさが引き立ちます。

一般的に洋食は硬水、和食は軟水。水も各国、各地域の食文化に関係してくるので、その国、地域、土地の水を使うというのが基本です。

 

六甲のおいしい水、Volvic、evianは硝酸性窒素入り

 

各国・各地の名水、自然のイメージや健康飲料的な売り方をしている水が店頭にいろいろ並んでいますが、安心して飲めるミネラルウォーターはどれなのでしょうか。

わたし(山中)は、2006年夏、水道水や市販のミネラルウォーターを見ると気になってチェックしていました。

このとき持ち歩いていたのは、水の簡易水質検査試験紙「アクアチェック」(硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、総硬度、総アルカリ度、pHを検査するキット。販売元=バイエルメディカル株式会社、価格3675円、簡易水質検査試験紙回分入り)と蒸発残留物質「TDSテスター」(水中にある不純物の濃度を測定)でした。

実際にセブン-イレブンで購入した「六甲のおいしい水」(ハウス食品、当時)、「Volvic」(キリンビバレッジ)、「からだにうるおうアルカリ天然水」(ケイ・エフ・ジー)、「CRYSTAL GEYSER(クリスタル・ガイザー」(大塚ベバレジ、当時)、「富士山のバナジウム天然水」(アサヒ飲料)、「evian」(カルピス伊藤忠ミネラルウォーター、当時)の6本とボトルドウォーターの「酸素プラス」(日本食研、当時)を検査してみました。

同時に、自宅(東京・金町浄水場を利用)の水道水もチェックしてみました。

水質検査試験紙「アクアチェック」のチェック方法は簡単で、試験紙を1秒間、それぞれの水に浸して、それを色調表の色枠と比較し判定していきます。実測した人の目測になります。つけてすぐに、「総硬度」「総アルカリ度」「pH」を計測。30秒後に「亜硝酸性窒素」、60秒後に「硝酸性窒素」を色調表の色枠と比較して判定します。硝酸性窒素は、0、1、2、5、10、20、50(単位:mg/ℓ)の7段階で判定する仕組みになっています。

一方、TDSテスターは、水に浸すだけで数値(ppm)が自動的にデジタル表示で出てくる仕組みです。TDSテスターの値が高過ぎると、不純物が多い水と見なすことができます。

検査結果は次のページの表のようになりました。

 

亜硝酸性窒素はいずれもゼロでしたが、「六甲のおいしい水」「Volvic」「evian」から、硝酸性窒素が各2mg/ℓ検出されました。自宅の水道水も、同じく2mg/ℓ含まれていました。

国立環境研究所などによれば、硝酸性窒素とは、肥料、家畜のふん尿や生活排水に含まれるアンモニウムが酸化されたもので、人が硝酸性窒素を多量に摂取すると、体内に亜硝酸性窒素として吸収され、血中でヘモグロビンと結合してメトヘモグロビンとなり、これは酸素運搬能力がないため、体内の酸素供給が不十分となり、酸欠状態となります。また、亜硝酸性窒素は、胃の中で発がん性のN・ニトロソ化合物を生成します。

日本の水道水では1978年に基準が設けられ、現在の水質基準では、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の合計値で10mg/ℓ以下となっています。

環境省が2005年12月に発表した、全国の地下水質の測定結果(平成16年度)においても、項目別の環境基準超過率では、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が5.5%(前年度6.5%)ともっとも高く(続いてヒ素、フッ素、テトラクロロエチレンの順)、年々、増加傾向にある厄介な物質です。

簡易水質検査試験紙「アクアチェック」の5検査項目とTDSテスターのくわしい説明は以下になります。

 

【硝酸性窒素】

農薬、除草剤、肥料などの窒素成分や植物などのたんぱく質や動物の屎尿が微生物により分解を受けた結果、生じる物質。次亜鉛素酸などの殺菌剤が存在しない場合、硝酸性窒素の濃度が1.84mg/ℓ(ppm)以上あると、大腸菌や緑膿菌等の活動源や栄養源になる。

9mg/ℓ(ppm)以上検出された場合には、その河川や地下水等が何らかの形で汚染されている可能性がある。そのような富栄養化した水は、殺菌が増殖し腐敗しやすいので飲まないほうが賢明。とくに乳幼児のいる家庭では飲料水だけではなく、その水を使って洗う食品類についても衛生面での注意が必要。

 

【亜硝酸性窒素】

飲料水や井戸水、浄水器などに検出されると細菌による汚染が発生している可能性がある。大腸菌や緑膿菌などの還元細菌が硝酸性窒素を栄養源として、亜硝酸性窒素に分解、還元している場合がある。この場合、その水は飲まないこと。亜硝酸性窒素は、胃の中で食品中の窒素化合物のアミンやアミドと反応して発がん性物質であるニトロソアミンを作り出す。

また、血液中のヘモグロビンとも反応して、酸素運搬機能のない血色素メトヘモグロビンもつくるので、酸素を運ぶ能力がなくなり、酸欠や窒息状態(チアノーゼ)を引き起こす(メトヘモグロビン血症)。乳幼児は胃酸の分泌が少ないため、硝酸性窒素を摂取することでも簡単に体内の還元菌によって亜硝酸性窒素に還元し、メトヘモグロビン血症を起こし、チアノーゼを引き起こす。赤ちゃんの唇が蒼くなることから、ブルーベイビー病ともいう。

 

【総硬度(炭酸カルシウム換算)】

カルシウムおよびマグネシウム硬度の総量を測定。アルカリ度が高く、総硬度50mg/ℓ(ppm)を超えた場合、配管内部にスケール(金属サビ)が付着しやすくなる。洗剤の泡立ちも悪くなる。アルカリ度が低く、総硬度が高い場合、石灰質のカルシウムが少なく、体に吸収されやすいイオン化カルシウムの濃度が高いことがわかる。

この場合には配管内部へのスケールの付着はない。樹齢7200年の縄文杉や名水百選でも知られる屋久島の湧き水のように、アルカリ度が低く、総硬度の低い水はのどごしがまろやかで、甘みを感じ、おいしいといわれる。

 

【総アルカリ度】

雨水が地中にしみ込んで石灰岩などの岩石から石灰質成分が溶解した石灰水pH4.8までにするのに要した硫酸(0.01mo1/ℓ 1mℓ)を炭酸カルシウム(1mg)の量に換算して表したもの。地質の状況を知るよい指標となる。総アルカリ度が80mg/ℓ(ppm)を超えると飲料水としての味が低下する。

料理や食品加工として使用すると、素材中のたんぱく質が凝固、変成しやすくなるので、だしの濁りや食品の褐変、変質の原因となる。お米を炊いても同様に褐変しやすく保湿の状態にすると早い時期に臭いが出てくる。浄水場における凝集処理で、濁度とともに重要な指針になっている。

石灰分がない低アルカリ度(20mg/1ppm以下)の場合、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を投入しても汚濁性有機物が凝集しにくいため、石灰を助剤として投入している。これは豆腐のにがりと同じ原理で、石灰質がたんぱく質などの有機物を凝固、変成させやすい性質と水質のpHが変わりにくい緩衝性を利用している。

近年では渇水時や下水処理、工業排水処理において凝集剤の多用によって著しくアルカリ度(石灰質)が増減していることから水質汚濁の一つの指標となっている。総アルカリ度が120mg/ℓ(ppm)を超えた場合、水道管や湯沸かし器などの金属パイプに石灰がスケール(金属サビ)として付着しやすくなる。このような水を摂取していると腎臓、胆のうの機能障害やリウマチ、神経痛、循環器系の障害やあるいは消化不良などを引き起こす。

 

【pH】

水素イオン(Hmo1/ℓ)が多い場合には酸性、水酸イオン(OHmo1/ℓ)が多い場合はアルカリ性。pH7.0を中性。pH6.0以下の酸性の場合、配管が腐食しやすくなる。pH8.0以上のアルカリ性の場合、石灰質などのアルカリ成分が多くなっているので飲み水の味が低下する。pHが高いほど配管内部にスケール(金属サビ)が付着しやすくなる。

 

【蒸発残留物質「TDSテスター(メーター)」】

水の中に溶け込んでいる不純物の濃度の総計。基本的には数値が低いほど不純物が少ないことを意味する。不純物というと汚いもののようにも聞こえるが、ミネラル分もこれに含まれるので、数値が高いものがよくないとも、一概にはいえない。

ミネラルといっても、水銀やカドミニウムのように有害な無機物もミネラルの仲間で、フッ素やヒ素などの有害ミネラルを含む天然水の存在も指摘されている。ミネラルウォーターなどの成分表に明記されているミネラルの量とTDSの差が著しく大きい水には、その成分は何なのか注意する必要がある。

 

水道水からも硝酸性窒素検出

 

東京都水道局サービス推進部広報サービス課に聞いてみました(2006年8月)。対応してくれたのは、浄水課水質係のカナミさんです。

―(自宅の)水道水から硝酸性窒素が少量、検出されたんですが、大丈夫でしょうか?

東京都水道局「とくに乳幼児がたくさん飲んだ場合、硝酸が亜硝酸に変わって、血液中に取り込まれ、赤血球と結びついて、酸素が運べなくなり、酸欠状態(チアノーゼ)になってしまう“ブルーベイビー問題”が生じたので、基準が設けられました。海外でも10mg/ℓ以下なら、問題は発生していません」

―大人の場合は大丈夫ですか?

東京都水道局「健康で胃酸が普通ならば問題ないはずです。乳児はまだ未発達なので、血液中に入ってしまう。大人の場合、そもそも漬物やハムなど他からもたくさん摂取している。乳児は、(たとえば粉ミルクなど)水からミルクをつくることもあるので、一番リスクの高いところを前提として、基準を決めています」

―海外ではどういう基準になっているんですか?

東京都水道局「日本では、WHOの参考値を基準にしている。計算式が若干異なるんですが、同じ基準で比べるとですね、え〜、計算しますと、WHOは11.29mg/ℓです。日本は10mg/ℓなので、ほぼ同じです」

つまり、乳幼児にガブ飲みさせない限りは、早急に深刻な事態には至らないということです。だが大人であっても、摂取しないに越したことはありません。ゼロのほうが衛生的で、健康です。

次に硝酸性窒素が出た3銘柄を販売する企業に、殺菌方法なども含め、聞いてみることにしました。それぞれに、簡易チェッカーで硝酸性窒素が2mg/ℓ検出されたことも伝えました。

 

「汚れていないきれいな水」(Volvic)と主張

 

「Volvic」を販売するキリンビバレッジお客様相談室に電話してみました(2006年8月)。

―殺菌は?

キリンビバレッジ「殺菌はいっさい行なっておりません。地下から汲み上げた水を外気にふれることなくボトルにつめています」

―硝酸性窒素が出ているんですけど、大丈夫ですか?

キリンビバレッジ「硝酸性窒素ですか…。Volvicの品質管理でも十分検査されているもので、ご安心してお召し上がりいただける商品として、ご案内しております。地下深く外気にふれずにボトリングしたもので、品質検査もパスしたものです。(検査は)フランスで行なっています」

―水道水と比べて何が違うんですか?

キリンビバレッジ「汚染から完全に隔離されたもので、細菌学的にも汚染されておらず処理がいっさい行なわれていない自然のままのピュアなお水というわけで、水道水であれば河川の水を浄水処理し、薬剤で飲める状態にしたものですが、Volvicの水は、汚れていないきれいな水を、何も処理せずにボトリングしている点で、おすすめできる水です」

―硝酸性窒素が出ているものを、お金を払ってまで買うのはどうかなと思ったんですね。ミネラルウォーターの基準値内だとは思うのですが、「汚れていない水」とはいえないんじゃないですか?

キリンビバレッジ「…どうなんでしょうか。地下から長い年月をかけてゆっくり、ろ過されたものです」

―硝酸性窒素が2mg/ℓ出ているのですから、汚れていないというのはどうかと思います。

キリンビバレッジ「WHOや日本の基準もクリアしていますので、問題ないかと思いますが、間接的な検査の方法、試験紙でされているというのでは、一概に正確性も、はっきりといえない状況にあるかと思います」

―Volvicのファンの方もいらっしゃると思いますので、もっとくわしく調べたいとは思っています。ちょっと不安ですから。

キリンビバレッジ「ご心配をおかけして申し訳ありません。キリンMCダノンウォーターズ(輸入者)とヴォルビック社にも、申し伝えたいと思います」

キリンビバレッジは、硝酸性窒素そのものの問題などは知らないようでした。

 

世界100力国以上で販売「evian」

 

「evian」を販売するカルピス伊藤忠ミネラルウォーターのお客様相談室に電話してみました(2006年8月)。

―殺菌は?

カルピス伊藤忠「殺菌はしておりません。そのままの状態でボトリングしています」

―硝酸性窒素が出ているんですが、大丈夫ですか?

カルピス伊藤忠「evianはフランスのパスツール研究所におきまして定期的に検査して大丈夫ということで、世界100カ国以上で販売している商品でございます。アルプスの地下でろ過されて出てきた水です。地中深くを流れています。わたくしどもの検査ではそこまではふれていませんが、水道法で合致しております」

―もちろん基準のクリアしていない商品を売っていては、大変なことですから。でも、これ(硝酸性窒素)はとれないのでしょうか?

カルピス伊藤忠「さきほど申し上げたように、手を加えるとヨーロッパでは、ナチュラルミネラルウォーターということはいえません」

―うちの水道水からも同じ2mg/ℓほど硝酸性窒素が出ているんですが、水道水と比べるとどんなところがいいんでしょうか?

カルピス伊藤忠「ミネラル分(硬度291)が豊富に含まれている点と、人体に吸収しやすいようにマグネシウムとカルシウムが2対1で入っています」

―ミネラル分は摂るとからだにいいですか?でも、飲んでもすぐにおしっこで出てきますし、どれくらい摂れるんでしょうか?

カルピス伊藤忠「そこまではちょっとわかりませんが…」

カルピス伊藤忠も、硝酸性窒素そのものの問題などは知らないようでした。フランスで認められていること、そして、宣伝をたくさん聞かされました。

 

バラツキがある「六甲のおいしい水」

 

「六甲のおいしい水」を販売するハウス食品のお客様相談室に電話してみました(2006年8月)。

―殺菌は?

ハウス食品「六甲山系の地下水を汲み上げまして、無菌で充填していまして細かい精密なフィルターで除去しています」

―菌は?

ハウス食品「いろんな雑菌、大腸菌とかありまして、すべて除去していますので、菌のない状態でボトルにつめております。いっさい殺菌せず、自然のお水をお召しあがりいただいています。精密なフィルターですので、ほとんどまったく菌のない状態で製造しております。クリーンルームで無菌の状態でボトルづめしております。開封するまでは、いっさい菌はおりません」

―水道水と比べて、どんなところが違いますか?

ハウス食品「水道水は塩素殺菌をしていますが、六甲のおいしい水は無菌です。自然のおいしい水をそのままお楽しみいただけます。ミネラルを含んだ水です」

―硝酸性窒素が出ているんですけど…。

ハウス食品「天然のミネラル水ですので、そういう数値が出るのかもわからないですが、殺菌したり添加物はいっさい加えておりません。そのままの水ですので…」

―フィルターで取れないんですか?

ハウス食品「硝酸性窒素というのは、どういう成分が入っているんでしょうか…」

―硝酸性窒素というものです。浄水場でも取れないので、浄水器をつけて取るんですけど。 ハウス食品「…くわしい者がおりますので、そちらと変わります」

別の担当者に変わってもらい、また質問をしてみました。

―硝酸性窒素のことなんですが…。

ハウス食品「わたくしどもも定期的に水質をチェックしていますが、その中に硝酸性窒素と亜硝酸性窒素を足したものも、定期的にチェックしています。水道法で10mg/ℓ以下になるように定められています。まったく検出されない場合といちばん多くても2mg/ℓ程度、検出される場合があります。自然の水ですので、ごくごく微量ですが、含まれていることがあります」

―わたしが計ったら2mg/ℓ出てたんですね。同じところで汲んでもそうなるんですか?

ハウス食品「過去5年くらい見ると、2mg/ℓが最高で、ほとんど検出されません」

―売っているもので、出ているものと出ていないものがあるんですか?

ハウス食品「と思います。あるていどバラツキがあります」

―なんでバラツキがあるんですか?

ハウス食品「自然の水ですから。わたくしどもの地下水は何年もかかって浄化されたものなんですよ。細かい部分で比較すると差が出てきますね」

―からだに大丈夫ですか?

ハウス食品「水道法で定められた基準内ですから、まったく問題ないです」

―ほかのミネラルウォーターでも、出ていないものもあるので…。

ハウス食品「バラツキがあるんですよね」

―出てないのがいいんですけど、どれくらいおきに検査しているんですか?。

ハウス食品「1カ月に1回はやってます。ほとんど検出されないです。ごくごく微量の場合は検出されないということになるんです。0.2mg/ℓ以下では入ってないのと変わらないので」

―(硝酸性窒素)取れないですかね?浄水場でも取れないですが、逆浸透膜だと、取れるものもありますが…。

ハウス食品「取れるかも、わかりません」

―そうすると、六甲のおいしい水でなくてもいいわけですよね。

ハウス食品「水道法でも、ずっと以前から定められた数値ですから、2mg/ℓは量的に少ないですから、ずっとお飲みいただいても問題になるようなことはありません」

―たまたま買ったというのが出ているというのなら、出ていないのがいいです。それを売ってほしいんですけど。

ハウス食品「自然界ですので、バラツキがあります。出る場合もあってこういうことになったと思います。必ず出るというわけではありません。気になさらないほうがいいと思いますけど」

わたしがセブン-イレブンで買ったものは、たまたま硝酸性窒素が出ていた商品だったと聞こえましたが、2003年『月刊あれこれ』でミネラルウォーター21種類を検査したときにも、「六甲のおいしい水」から硝酸性窒素が1.5mg/ℓ出ていました。そのとき、「Volvic」と「evian」からも検出されています。

 

どのミネラルウォーターを買うべきか

 

基準値内といっても、硝酸性窒素が入っている「六甲のおいしい水」「Volvic」「evian」

は避けたほうがよいという結果でした(2006年当時)。

TDSテスターによる不純物の濃度を見ても、これらは高めでした。

不純物には、ミネラル分もこれに含まれるので、必ずしも数値が高いものが悪いわけではありませんが、成分表に記されるミネラルの量(=硬度)とTDS濃度の差が大きい水は、ミネラル以外のものが含まれている場合もあるため、注意が必要といえます。

2006年の結果でいえば、「からだにうるおうアルカリ天然水」は、硬度40対して、TDSは99と倍出ているため、不純物が多く含まれている可能性が高いと思われます。

簡易水質検査試験紙の説明文には「EPA(アメリカ環境保養局)の基準に基づいて検出感度のレンジを決定していますので標準化された測定方法が得られます」とあります。あくまで目安ですが、今回チェックした水でいえば、残りの3銘柄であるボトルドウォーター「酸素プラス」、「富士山のバナジウム天然水」、「CRYSTAL GEYSER」を買うほうがよいといえます。

ただし「富士山のバナジウム天然水」について別の点から補足すれば、バナジウムは人体内でインスリンに似た働きをして血糖値を下げるため糖尿病治療薬になるのではないかと期待され健康食品の一種として販売されている一方、バナジウムの糖尿病抑制効果の裏づけは弱く、その効果は期待できるともいえません。

また、そういった健康効果を期待させる売り方は、効能が証明されていない現状ではマイナスです。 同様に「からだにうるおうアルカリ天然水」もこの点でもマイナスといえるでしょう。

総合的に見ると、このなかでは、ミネラルウォーターの「CRYSTAL GEYSER」、ボトルドウォーターの「酸素プラス」がオススメということになりました(2006年)

それ以来、わたし自身、アメリカの「CRYSTAL GEYSER」を買うようにしてきました。

 

ふたたびミネラルウォーターを8本計測

 

2006年に続いて2007年には、社内の研究室に水の詳細調査機器を持つニューメディカ・テック株式会社(大阪)の協力の下、蒸発残留物質「TDSテスター」、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、総硬度、総アルカリ度、pHの検査をさらに詳細に計測しました。また2005年の水道法改正から新たに採用された「全有機炭素の量」(TOC、有機物による汚染の指標)を追加しました。

今回の調査銘柄は同じくセブン-イレブンで販売されていた8本のミネラルウォーター。「六甲のおいしい水」(ハウス食品、当時)、「南アルプスの天然水」(サントリーフーズ)、「富士山のバナジウム天然水」(アサヒ飲料)、「CRYSTAL GEYSER」(アメリカ、大塚ベバリッジ、当時)、「Vittel」(フランス、サントリー—フーズ)、「Contrex」(フランス、サントリーフーズ)、「evian」(フランス、カルピス伊藤忠ミネラルウォーター、当時)、「Volvic」(フランス、キリンビバレッジ)です。

 

からだによいイメージのミネラル

 

ミネラルと聞くとからだによいイメージで、ミネラルウォーターでそれが摂取できる感じがしますが、そもそもそのミネラルとは何なのでしょぅ。

水の専門家としてメーカーと利害関係のない立場で研究、発言を続けている、循環資源研究所所長・村田徳治さん(1934年生まれ)に聞いてみました。

村田さんは、日本化学産業株式会社研究所長を経て、現在、循環資源研究所所長。技術士(化学部門)、元淑徳短期大学兼任講師。主な著書に『新訂 廃棄物のやさしい化学全3巻』(日報出版)、『正しい水の話』(はまの出版)、『化学はなぜ環境を汚染するのか』(環境コミュニケーションズ)などがあります。

村田「ミネラルとは鉱物無機物のことです。有機物ではないもので、人体に必要な成分もあれば、水銀や鉛のよぅに有害な成分もあります。

カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、リン酸塩などが人体に必要なミネラルです。鉄は血や酸化酵素の原料です。ビタミンB12のなかにはコバルトが含まれています。たとえば、必須元素である亜鉛が少なくなると味覚を感じなくなったり、肌ががさがさになります。

ナトリウムやカリウムなどのミネラル類は、細胞の内側や外側に存在し、新陳代謝をつかさどっています。カルシウムも神経伝達に重要な働きをしています。血液中のミネラル成分と濃度は、生物が地球上に発生した頃の海水の成分に近いといわれています。

カルシウム、マグネシウム、リン酸塩は骨や歯の成分であり、ミネラルとして重要な物質です」

 

できるだけ純水に近いミネラルウォーター

 

今回の8本のミネラルウォーターの計測では、水質基準項目(50項目)で基準値が定められ検査が義務づけられている項目でもある硝酸性窒素および亜硝酸性窒素、カルシウム、マグネシウム(硬度)、有機物(TOCの量)、pH値が含まれています。

からだへの影響でとくに重要となる指標は今回、亜硝酸性窒素総硬度(発がん物質へ変化)、硝酸性窒素(発がん物質へ変化)、TOC(水質汚染の指標、水の腐りやすさ)になります。

総硬度と総アルカリ度は水の性質を表し、数値が高いと健康影響を受けるといわれています。

TDSの数値は基本的には低いほど不純物、有害物質が少なく、ただし、ミネラル分もこれに含まれるので、数値が高いものがよくないとも一概にはいえません。水の味もTDSが高い低いだけでは評価できません。村田徳治著『正しい水の話』では、環境庁が決めた快適水質項目には30~200mg/ℓとあります。

これらの数値から、どうやってランキングづけしていくかがポイントになってきます。村田さんに、 水の評価について聞いてみました。

村田「ミネラルウォーターのランキングをつくるのなら、純水に近いものになるといいです。測定できる塩類や有機物などの数値は、なるべく0に近いものがいい。

山頂に降った雨は、山間部からだんだん下流にいくに従って、いろんなミネラルや有機物を溶かして、悪くなっていき、最終的には海水になります。理想は純水。

空気中の排ガス成分ノックスが雨に溶けて、落ちてくれば硝酸性窒素になります。亜硝酸性窒素は、屎尿処理などで硝酸まで酸化されずに排出されると検出されます。この濃度が高いと屎尿が混入していることが考えられます。

アルカリ度も数値を出してどうするのと思います。塩類濃度も低いほうがいい。

純水のpHは、通常の計では計測できません。ミネラルが溶けてくるとアルカリに傾くことがありますが、普通の水だったら炭酸ガスが溶けこんでいるから5くらいでしょう。

炭素を持った化合物を有機物というのだけど、有機物の種類は無限といってもいいので、個別に計るのはたいへんです。そこで有機性炭素の濃度TOCが基準に入りました。TOCの高い水は、有機物が多い汚染された水ということになります。ほとんどの農薬は有機物。有機物は不純物なのでそんなものはない水のほうがいい。

農薬のほとんどは有機物であり、水道水の基準5ppmも入っていたらたいへんですが、それを超えることはないでしよう。これも、水が流れてくる場所によって決まります」

 

硬度はボイラーマンだけが必要な数値

 

今回の検査で選んだミネラルウォーター8本の内訳は、軟水5本、硬水3本でした。中でも、「Contrex」と「evian」などフランスの硬水は人気の商品です。

村田「そもそも、飲み水に硬度の基準をあてはめるのはおかしい。水が硬い、やわらかいというのはぜんぜん意味のないことです。マグネシウムイオンとカルシウムイオンでそれぞれ表示をすればいいのに、マグネシウムをわざわざ炭酸カルシウムに換算したものを合算して、硬度といっています。

硬度は蒸気機関全盛時代の名残で、昔の風習です。

なぜ、硬水という単位ができたかというと、J・ワットの時代にまでさかのぼります。硬水をボイラーに入れると、水に不溶のカルシウムやマグネシウムの炭酸塩や硫酸塩からなる缶石がつきます。缶石がつくとボイラーの熱伝導が悪くなったり、安全弁に詰まり爆発事故などが起きます。原子力発電所、火力発電所で使うボイラーの水はイオン交換樹脂などを通して、イオンの入っていない軟水を使っています。

ボイラーマンがボイラーに水を入れるとき以外、硬度は必要ない。飲み水の硬度を計算で出しても意味がない。表示はカルシウムとマグネシウムのイオン濃度を別々に表示すればいいことです。

また、アメリカ、イギリス、フランスの硬度は、国によって計算方式が違うので、比較できず、まったく意味がありません。300mg/ℓから硬水とか、十進法できりがいいところで決めていて何の根拠もありません。

つまり水関係の人の中に、化学をやっている人がほとんどいないんですよ。それくらい水に関しては、遅れているということです。

健康うんぬんに硬度はまったく意味がないです。硬度ではカルシウムとマグネシウムの比率がどれくらいがいいかもわかりません。

カルシウムやマグネシウムを高濃度に含む、たとえばコントレックスなどは、下痢を起こす場合があります。マグネシウムやカルシウムの濃度が高い水を飲むと腸内の粘膜が収斂して、下痢を起こします。日本薬局方で硫酸マグネシウム(硫苦)は、下剤に指定されています。塩化マグネシウム(にがり)も下痢になります。

また、カルシウムだけで、マグネシウムが入っていない水を飲み続けると、尿路結石が多く発生することは名古屋市立大医学部の群健次郎教授が解明しています」